こんな警察でも検察よりマシ
まずは対警察。ゴビンダさんには同居する4人のネパール人がいて、全員、ゴビンダさんと同じくオーバーステイだった。
「警察の同居ネパール人に対する取り調べは本当にひどいものでした。仕事が終わると渋谷署に呼びつけ、夜中の3時まで続ける。暴行に加え、職を斡旋するなどの利益供与もあった。
ネパール人たちはオーバーステイの負い目があるので、呼ばれたら行くしかなかった。警察は彼らの供述調書を取るだけ取って、終わったら強制送還したんです」(佃弁護士)
この批判に前出の平田元捜査一課長はこう答える。
「参考人と接触すれば人間関係ができる。職がなければそれを斡旋する。人間として当然のことです。被疑者に対する利益供与とは違う。都合のいい供述を得るため? そんなことはありえない」
だが実際、同居人の一人は、犯行当日ゴビンダさんが殺害現場(アパート喜寿荘の101号室)の鍵を持っていないと知りながら、「ゴビンダは鍵を持っていたが、持っていなかったことにしてくれと、口裏合わせを頼まれた」との供述調書を取られている。その供述を、公判で翻させたのは弁護団だ。
ゴビンダさんには疑われても仕方がない部分もあった。夜な夜な渋谷の路上で売春していた被害者と、3度、セックスしたことがあった。そして殺害現場のトイレから、ゴビンダさんの精液が入ったコンドームが発見されているのだ。
疑われる要素は十分にあるからこそ、弁護団にとっても事実審、つまり東京地裁における一審は、正々堂々と戦う場だった。
そして、弁護団はその戦いに勝った。一審の大渕敏和裁判長に「被告人を本件犯人と認めるには、なお合理的な疑問を差し挟む余地が残されている」と言わしめ、無罪判決('00年4月14日)を引き出したのだ。
「いくつか乱暴な捜査はあったにせよ、僕は警視庁が悪質極まりない、と言うつもりはない。悪夢はむしろ無罪判決の後、始まったんです」(佃弁護士)
引用:東電OL殺人事件 テレビにも出ないしカネももらわない ゴビンダさんの弁護団 15年間の冤罪法廷で勝ち取ったもの | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]
2016年5月28日土曜日
「いくつか乱暴な捜査はあったにせよ、僕は警視庁が悪質極まりない、と言うつもりはない。悪夢はむしろ無罪判決の後、始まったんです」(佃弁護士) ー 東電OL殺人事件 テレビにも出ないしカネももらわない
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