東京地検特捜部が、甘利元経済再生TPP担当大臣とその秘書のあっせん利得処罰法違反事件について、すべて「嫌疑不十分で不起訴」という処分を行った。
特捜検察にとって、“屈辱的敗北”であり、まさに「検察の落日」である。
週刊文春で報道された今回の事実関係は、ほとんどが録音記録等に基づくもので疑いの余地がない。秘書が、URに対して、再三にわたって、補償金の支払・増額を迫り、多額の政治資金を受け取ったり、個人で現金をもらったり接待を受けたり、甘利氏自身も、そのような業者から大臣室で現金を受け取る。そのようなことを平然と行えるのは、まさに、権力の一極集中の下での政権与党の有力閣僚の「驕り高ぶり」そのものである。そのような事案に対して、捜査の着手も大幅に遅れ、ようやくURへの強制捜査着手で、若干の期待をもたせたかと思えば、あっさり全員不起訴で決着。このような捜査の経過と結果は、過去には「日本最強の捜査機関」と言われた東京地検特捜部にとって“屈辱的敗北”以外の何物でもない。
時の政治権力に屈することなく、「厳正公平、不偏不党を貫く」というのが、検察の矜持だった。その検察を象徴する存在であった「東京地検特捜部」の看板は、地に堕ちたと言わざるを得ない。
検察が世の中の期待に応えられない場合の常套手段として、処分に先立って「前打ち報道」が行われ、そこで検察の内部情報に基づく「不起訴の理由」が説明される。
引用:特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件
2016年6月5日日曜日
引用:特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件(郷原信郎弁護士)
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