我々産婦人科医は警察からの要請で、強姦に遭った女性の診察を担当します。私が経験しただけでも被害者は10代~50代と幅広く、露出の高い服を着ていた人の方が少ないです。また、明るい時間でも被害に遭うこともありますし、知り合いの犯行も多いです。AVの作ったファンタジーのために、最初はいやがっていてもそのうち女性がOKすると思っている男性も少なくないようですが、最初でも途中でもNOと言えばNOです(これは男女が逆の場合や同性間でも同じです)。
残念ながら産婦人科の医師(女性を含む)でも、性暴力は女性の無知で起こると思っている人や、強姦後の診察で被害者に説教をする人もいるので、一般の方々の前に我々がもっと勉強する体制を整えないといけないのです。
でも、物を盗られた人にはあまり「盗られた方に非はなかったか」ということは言わないのに、より凶悪な犯罪である性暴力では被害者のセカンドレイプが横行していることについては、私も一言言わせていただかずにはいられませんでした。
厳罰化や被害者配慮の動きも
幸いようやく、法制審議会が性犯罪について刑法を見直すような動きがあるという報道がありました。法改正が実現すれば、厳罰化はもとより、強姦が親告罪でなくなり、被害者個人が告訴しなくても起訴できるようになります。男性も女性の被害者と同様に扱われるようになりますし、近親姦も刑法の強姦罪の対象になります。近親者による子どもの性暴力も近親者が逮捕されるようになるので、子どもが児童相談所に保護されなくて済むなどの変化が起こります。
痴漢がお笑い番組の刑務所コントで、笑いを呼ぶ「ズッコケ前科」扱いになっていた30年前から確実に進歩していくと思いたいです。
これを読んでくださった方が少しでも性暴力の被害者を偏見の目で見なくなりますよう、お願いしたいと思います。
引用:俳優の性暴力事件 報道やネットの騒ぎにもの申す : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
俳優の性暴力事件 報道やネットの騒ぎにもの申す https://t.co/kFPCM8JxDq— TORU OKUMURA (@okumuraosaka) 2016年9月15日
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